1.ギター仁義

作詞:嵯峨哲平
作曲:遠藤実

雨の裏町 とぼとぼと
俺は流しの ギター弾き
“おひけえなすって
手前ギター一つの
渡り鳥にござんす”
峠七坂 手を振って
花の都へ 来てから五年
とんと うきめの 出ぬ俺さ

風の冷たさ 身に沁みる
俺は落葉か ギター弾き
“おひけえなすって
手前おけさおけさの
雪の越後にござんす”
故郷想えば 初恋の
死んだあの娘も 生きてりゃ廿才
俺もあん時ゃ うぶだった

情け横丁 今晩は
俺は流しの ギター弾き
“おひけえなすって
手前宿なし雀の
流れ者にござんす”
暗い酒場の 片隅で
そっと笑った 空似の人の
何故か気になる 泣き黒子


2.ソーラン仁義

作詞:半田耕吉
作曲:成田武夫

手前生まれは
ソーラン節の
歌でなじみの 北海生まれ
夜の酒場を 露路裏づたい
流す男の 仁義には
意地と苦労が しみている

手前ひとりで
津軽を越えた
ケチな野郎さ 道産子かもめ
ギターゆこうか のれんをわけりゃ
一つ頼むと声かける
意気がとけあう 人もある

手前生まれは
しぶきがかかる
銀のウロコの にしん場育ち
惚れたあの娘も 待ってはいまい
風の噂じゃ 他人の妻
そうだ忘れて 生きるのさ


3.帰ろかな


4.函館の女

作詞:星野哲郎
作曲:島津伸男

はるばるきたぜ 函館へ
さかまく波を のりこえて
あとは追うなと 言いながら
うしろ姿で 泣いてた君を
おもいだすたび 逢いたくて
とても我慢が できなかったよ

函館山の いただきで
七つの星も 呼んでいる
そんな気がして きてみたが
灯りさざめく 松風町(まつかぜちょう)は
君の噂も きえはてて
沖の潮風 こころにしみる

迎えにきたぜ 函館へ
見はてぬ夢と 知りながら
忘れられずに とんできた
ここは北国 しぶきもこおる
どこにいるのか この町の
ひと目だけでも 逢いたかったよ


5.博多の女

作詞:星野哲郎
作曲:島津伸男

ひとの妻とも 知らないで
おれはきたんだ 博多の町へ
逢わなきゃよかった 逢わないで
夢にでてくる 初恋の
君をしっかり だいていたかった

夜の那珂川(なかがわ) 肩よせて
ゆけばしくしく 泣くさざ波よ
ゆるして下さい ゆるしてと
わびる姿が いじらしく
おれはなんにも 言えなかったのさ

それじゃゆくぜと 背を向けて
夜の中洲(なかす)へ 逃げてはみたが
まぶたをあわせりゃ 浮かぶのさ
俺はやっぱり あの頃の
君をさがして 明日に生きるのさ


6.薩摩の女

作詞:星野哲郎
作曲:島津伸男

義理あるひとに 背を向けて
別れてきたと 君は泣く
雨がふるふる 天文館通の
青いランプに 身をよせりゃ
ああ 悲恋の旅の ドラが鳴る

信じていたよ この胸に
いつかは帰る 女だった
肩へ廻した 男の腕に
ぐっと力を いれながら
ああ 仰げば燃える 桜島

いままで泣いた かなしみは
かならず俺が とりかえす
やがて出船の 合図はあるが
故郷で待てよと ささやけば
ああ 錦江湾に 陽がのぼる


7.加賀の女

作詞:星野哲郎
作曲:島津伸男

君と出逢った 香林坊の
酒場に赤い 灯がともる
ああ 金沢は 金沢は
三年前と おんなじ夜が
静かに俺を 待ってる町だ

忘れられよか 天神橋の
たもとにのこる 物語り
ああ あの女も あの女も
おもいの糸の 細白糸を
かけるか遠い 都の空に

謡曲がふるふる 加賀宝生の
木洩れ陽青い 石だたみ
ああ 金沢は 金沢は
身も世もすてて あなたのために
生きると云った 君住む町よ


8.誠


俺は 俺は男だ 勝つことよりも
誠 一字を守りたい
雨と降る降る 火の粉のなかへ
だいてゆくのさ
まるい小さな 盃を

ばかだ ばかだ ばかだと 自分をさげて
立てた他人に 泣かされる
かわいそうなは 女房のやつさ
こんな男の
どこにひかれて ついてくる

長い 長い 短い 差はあるけれど
どうせはかない いのちだぜ
切れりゃ継げぬ この一本の
紐にからんだ
義理の荷物と ふたり旅


9.北海太鼓


10.冬の宿

作詞:星野哲郎
作曲:紫しずか

(セリフ)ア… 遠い人になってしまった

逢うたび細くなる君の
その肩先を だきながら
ああ 苦しめてごめんねと
あやまりながら泣いていた

生きてることが苦しいと
身をふるわせたあのひとを
ああ 信濃路のカラマツの
落葉のなかでおもいだす

片っぽだけの 靴下で
おわった恋の 編物よ
ああ その恋のすて場所を
さがしてふけた 冬の宿


11.寒流


涙さえ 凍る北の海に
住みなれた 男の
さよならは 冷めたい
あの女(こ)には すまないが
親子三代の
骨をうずめる
納沙布は 納沙布は
俺の ゆりかご

あのひとの 長い髪をつつむ
水色の 角巻
だきしめて 別れた
あの日から ひとつずつ
消した カレンダーの
赤い インクは
逢いたさの 逢いたさの
熱い 炎よ

アザラシの 群れが啼いて暮れる
流氷の 彼方に
夕月が のぼれば
荒くれた この俺の
胸の丸窓に
すてた 故郷の
妹や 弟の
顔が うかぶよ


12.残雪

作詞:西郷たけし
作曲:大野一二三

俺がやらなきゃ 誰がやる
どうせ一度は 散る命
義理と恩義を サラシの奥に
抱いた男の 肩先を
馬鹿な奴だと たたく雪

済まぬ許せと 背にかけりゃ
泣いているよな 襟足が
たまらない程 又いじらしい
うらみましたぜ この稼業
恋という字を 消した雪

さわぐ心に 冷酒を
くんで三途の 川をゆく
地獄参りの 一本道さ
ぐいとにらんだ 男影
つつむ今夜の ぼたん雪


13.歩

作詞:関沢新一
作曲:安藤実親

肩で風きる 王将よりも
俺は持ちたい 歩のこころ
勝った負けたと 騒いじゃいるが
歩のない将棋は 負け将棋
世間歩がなきゃ なりたたぬ

あの娘いい娘だ 離れもせずに
俺を信じて ついてくる
みてろ待ってろ このまますまぬ
歩には歩なりの 意地がある
いつかと金で 大あばれ

前に出るより 能なし野郎
吹けば一番 飛ぶだろう
だけど勝負は 一対一よ
王将だろうと 何だろと
後にゃ引かない 俺のみち


14.終着駅は始発駅

作詞:佐東ひどる・星野哲郎
作曲:中村千里

背なかを合わせて あばよと言えば
おまえの震えが 伝わるぜ
死ぬほど惚れて 死ぬほど泣いた
涙は頬を ぬらしても
終着駅は 始発駅

ふたりのしあわせ 祈っているよ
ふり向かないで 行ってくれ
ひとつの愛は 終ったけれど
明日がおまえを 待っている
終着駅は 始発駅

函館止まりの 連絡船は
青森行きの 船になる
希望を捨てるな 生きてるかぎり
どこからだって 出直せる
終着駅は 始発駅


15.与作

作詞:七沢公典
作曲:七沢公典

与作は木をきる
ヘイヘイホー ヘイヘイホー
こだまは かえるよ
ヘイヘイホー ヘイヘイホー
女房ははたを織る
トントントン トントントン
気だてのいい嫁だよ
トントントン トントントン
与作 与作 もう日が暮れる
与作 与作 女房が呼んでいる
ホーホー ホーホー

藁ぶき屋根には
ヘイヘイホー ヘイヘイホー
星くずが 降るよ
ヘイヘイホー ヘイヘイホー
女房は藁を打つ
トントントン トントントン
働きものだよ
トントントン トントントン
与作 与作 もう夜が明ける
与作 与作 お山が呼んでいる
ホーホー ホーホー


16.風雪ながれ旅

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

破れ単衣に 三味線だけば
よされよされと 雪が降る
泣きの十六 短かい指に
息を吹きかけ 越えてきた
アイヤー アイヤー
津軽 八戸 大湊

三味 が折れたら 両手を叩け
バチが無ければ 櫛でひけ
音の出るもの 何でも好きで
かもめ啼く声 ききながら
アイヤー アイヤー
小樽 函館 苫小牧

鍋のコゲ飯 袂で隠し
抜けてきたのが 親の目を
通い妻だと 笑った女の
髪の匂いも なつかしい
アイヤー アイヤー
留萌 滝川 稚内


17.なみだ船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

涙の終わりの ひと滴
ゴムのかっぱに しみとおる
どうせおいらは ヤン衆かもめ
泣くな怨むな 北海の
海に芽をふく 恋の花

クルクル 帆綱を 巻きあげて
暁の千島を 忍び立ち
あてにゃすまいぞ ヤン衆かもめ
舵であやつる 舟のよに
女心は ままならぬ

惚れたら 遠慮は できまいが
いやというなら ぜひもない
夢をみるなよ ヤン衆かもめ
にしん枕に 北海の
月に哀しや 泪船


18.漁歌

作詞:山田孝雄
作曲:浜圭介

俺が網を引くのはよ
可愛い女房と子供によ
腹一杯 飯を食わすためなんだよ
坊の岬に桃花咲く頃
今年も鰹が 鰹が来るぞ
はまらんかい きばらんかい
東支那海は 男の海よ

俺が海で死んだらよ
可愛い女房と子供はよ
どうして生きる 嵐にゃ負けるものかよ
夫婦鶯 裏山で鳴く頃
今年も鰹が 鰹が来るぞ
はまらんかい きばらんかい
沖は荒海 男の海よ

はまらんかい きばらんかい
東支那海は 男の海よ


19.まつり

作詞:なかにし礼
作曲:原譲二

男は祭りをそうさ かついで生きてきた
山の神 海の神 今年も本当にありがとう
白い褌 ひきしめた
裸若衆に雪が舞う
祭りだ 祭りだ 祭りだ 豊年祭り
土の匂いのしみこんだ
伜その手が宝物

男は祭りでそうさ 男をみがくんだ
山の神 海の神 いのちを本当にありがとう
船に五色の旗をたて
海の男が風を切る
祭りだ 祭りだ 祭りだ 大漁祭り
見ろよ真っ赤な陽が昇る
伜一番船をこげ

燃えろよ 涙と汗こそ 男のロマン
俺もどんとまた 生きてやる
これが日本の祭りだよ


20.十九のまつり -まつりパートII-

作詞:なかにし礼
作曲:原譲二

祭りの夜に あの娘が泣いたよ
別れが辛いと すがって泣いた
踊ればまぶしい 絣のゆかた
か細い指先に 月影白い
あの娘の涙がなつかしい
あれは十九の 秋祭

一年あとの 祭りの季節に
あの娘は黙って お嫁に行った
真っ赤な夕陽の 小川の道を
泣き泣き馬の背に 揺られて行った
あの娘と別れた悲しみが
俺の勇気の 湧きどころ

祭りが恋し ふるさと愛しい
夜風が散らした 初恋悲し
瞼を閉じれば あの娘がうかぶ
やさしい面影は 今でも十九
幸せ祈るさどこまでも
俺の人生 秋祭り


21.川

作詞:野村耕三
作曲:池山錠

川の流れと人の世は
澱みもあれば渓流もある
義理の重きを忘れたら
立つ瀬なくして沈むだ…黙って
おとこは川になる

風にこぼれた花びらを
浮かべて川に情がある
生きる辛さに耐えながら
人は優しさ恋しがる…忍んで
おとこは川になる

過去とうらみは流れても
流しちゃならぬ恩がある
他人の情けをかりながら
明日へ漕ぎだす舟もある…揺られて
おとこは川になる


22.年輪

作詞:関根縋一・石本美由起
作曲:原譲二

雪の重さを はねのけながら
背のびしたかろ枝も葉も
山に若葉の春がくりゃ
よくぞ耐えたと笑う風
苦労 年輪 樹は育つ

みどり絶やさぬお山の掟
守りつづけて子や孫に
強く伸びろと親ごころ
枝を切る木に血が通う
苦労 年輪 樹は育つ

いつか世に出て大黒柱
夢のようだか夢じゃない
願い重ねた歳月に
熱い想いが生きている
苦労 年輪 樹は育つ


23.夜汽車

作詞:木下龍太郎
作曲:原譲二

すがるお前を 叱りつけ
無理やり乗せた 終列車
迎えに行くから 故郷の空で
身体を治して 待つがいい
ああ夜汽車よ急げ!
泣き濡れた顔を見るのがつらいからつらいから

ごめんごめんな その肩に
苦労の荷物が 重すぎた
親御に逢ったら 伝えておくれ
俺が一言 詫びてたと
ああ夜汽車よ急げ!
振り向かずこころ休まるその町へその町へ

窓に頬寄せ 眠ったか
汽笛も遠い 終列車
出世したなら 大手を振って
お前を貰いに きっと行く
ああ夜汽車よ急げ!
少しでも早くその日が来るように来るように


24.山

作詞:星野哲郎
作曲:原譲二

流れる雲の 移り気よりも
動かぬ山の 雪化粧
ガンコ印の 野良着をまとい
生きる師匠(おやじ)の横顔に
おれは男の山をみた
おれもなりたい 山をみた

けわしい山に 登ってみたい
自分の道を 極めたい
それは男の 見果てぬ夢か
山に登れば その山の
山の向こうに 待っている
山の深さを 知るばかり

目先のことに うろちょろするな
昨日と同じ 今日はない
それが師匠(おやじ)の 口癖だった
たった一度の 人生を
花にするのも がまんなら
山にするのも またがまん


25.北の大地

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

はるかなる 北の空
木霊も叫ぶ エゾ松林
母の大地に根を下ろし
雪を吸い みぞれを背負い
この人生を アア… ハ…噛みしめる

鈴蘭よ ハマナスよ
出逢いの時を 信じて耐えた
愛がそのまゝ 花となる
その姿 その凛々しさが
縛られた春の アア…ハ… 扉を開ける

ギラギラと 燃えながら
夕陽はうたう 大地の歌を
汗と涙を 分けあった
幾歳の 希望の道に
おまえとおれの アア…ハ… 星が降る


26.谷

作詞:星野哲郎
作曲:原譲二

岩を噛む 川の流れを錦に染めて
山と山とを とり結ぶ
谷は男の 思いやり
立てた他人に 泣かされながら
沈む自分に 沈む自分に にが笑い

一粒の 雨が重なる小川の水も
やがて大河と なることを
谷は知ってる 語らない
遠い雲間の 星空仰ぎ
明日の幸せ 明日の幸せ 祈りたい

守りたい 決めた道なら苦労は覚悟
今日は負けても 慌てるな
獅子の子供は 千仭の
谷に己の 未来をかけて
風の峠を 風の峠を 越えてゆく


27.竹

作詞:野村耕三
作曲:原譲二

雪の降る日も 雨の日も
竹は節目で 伸びてゆく
人もまた 己れが道の一里塚
確かめながら 行けばいい
そこに出逢いも 彩りも
ああ…粛々と 行けばいい

月の世界に 憧れて
竹に託した 夢もある
人はみな 見果てぬ夢の夢灯り
しっかと抱いて 生きりゃいい
熱い想いを 温もりを
ああ…粛々 と行けばいい

花の咲くのは ただ一度
竹は寿命(いのち)が 尽きるとき
人もまた 上辺の花を飾るより
誠実(まこと)の花を 持てばいい
こころ豊かに しなやかに
ああ…粛々 と行けばいい


28.根っこ

作詞:鈴木紀代
作曲:原譲二

咲いた花だけ 人は観て
きれいな花だと もてはやす
花には枝あり 幹がある
目にこそ届かぬ その下に
忘れちゃならない 根っこの力
蔭で支えて 土ん中

上へ上へと 背のびすりゃ
嵐で根こそぎ 倒される
前、横、後ろに 気を配り
足げにされても 踏まれても
愚痴さえ言わずに 根っこは耐える
陽の目一生 見なくても

裸さらして 生きる木は
雷さんにも どやされる
涙は裂けても こぼさない
我慢を肥料に 今日もまた
生命を枯らさぬ 根っこがあるさ
明日にでっかい 花となる


29.峠

作詞:木下龍太郎
作曲:原譲二

ここでいいなら 頂上だけど
先を見上げりゃ まだ中半(なかば)
男なりゃこそ 他人(ひと)より重い
夢を背負って 登りたい
峠と言う名の 一生を

命綱より 離せぬものは
惚れたお前の 心杖
こんな男の 明日に賭けて
共に歩いて 呉れるのか
峠と言う名の 一生を

花と散るとき 男は見たい
生きた証の 足跡を
一歩一歩を 大地に刻み
天を目指して 登りたい
峠と言う名の 一生を


30.北の漁場

作詞:新條カオル
作曲:桜田誠一

いのち温めて 酔いながら
酒をまわし飲む
明日の稼ぎを 夢に見て
腹に晒し巻く
海の男にゃヨ 凍る波しぶき
北の漁場はヨ 男の仕事場サ

沖は魔物だ 吠えながら
牙をむいてくる
風にさらした 右腕の
傷は守り札
海の男にゃヨ 雪が巻いて飛ぶ
北の漁場はヨ 男の遊び場サ

銭のおもさを 数えても
帰るあてはない
二百浬を ぎりぎりに
網をかけてゆく
海の男にゃヨ 怒 が華になる
北の漁場はヨ 男の死に場所サ


31.風雪ながれ旅

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

破れ単衣に 三味線だけば
よされよされと 雪が降る
泣きの十六 短かい指に
息を吹きかけ 越えてきた
アイヤー アイヤー
津軽 八戸 大湊

三味 が折れたら 両手を叩け
バチが無ければ 櫛でひけ
音の出るもの 何でも好きで
かもめ啼く声 ききながら
アイヤー アイヤー
小樽 函館 苫小牧

鍋のコゲ飯 袂で隠し
抜けてきたのが 親の目を
通い妻だと 笑った女の
髪の匂いも なつかしい
アイヤー アイヤー
留萌 滝川 稚内